AGFAで撮ったことがあるかい

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古い画像ファイルを
整理していたら、ちょうど10年前に行ったドイツ・ライプチヒのデータが出てきて何だか懐かしい気分でした。その中にはベルリンに住んでいる友達に連れって行ってもらったカメラ市の様子もありました。あれこれと古いカメラやレンズを買ったのですけれど、その中では比較的新しい物件として入手したのがアグファの一眼レフカメラ、セレクトロニック3でした。欧州の名門フィルムメーカーとして数々の名作カメラをアグファはリリースしていましたが、1980年代に入ると日本のメーカーが供給するようになったのです。その当時の日本ではAGFAブランドの一眼レフは主な商流には乗っておらず、いわば幻のような存在でありました。

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セレクトロニック3を作っていたのは
チノンという会社です。仕様としては電磁制御式のフォーカルプレーンシャッターを搭載した絞り優先・マニュアル露出可能な35mm判一眼レフ。もちろんフィルムを使いますが、別にアグファのフィルムでなくても大丈夫です。交換レンズはペンタックスKマウント互換。セレクトロニック3はチノンCE-4というモデルをベースにしているので、チノンの交換レンズを装着することも可能。特に不自由なく撮影できる“可もなく不可もない”タイプのカメラですが、そのスタイリングには心惹かれるものがあります。

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要するにデザイン物件として
手元に置いておきたくなるんですよね。ボディカバーはプラスチック製でありながら品位のある仕上がり。同世代のコンパクト機オプティマシリーズにも採用されていた大きなオレンジ色のシャッターボタンがアグファのデザイン・アイデンティティーでした。この雰囲気、1980年代のドイツ・ブラウン社のデザインなどに通じるものがあります。シンプルな形態に差し色の一撃。コンパクト機と一眼レフを見比べてみると、直線基調で角のRが揃っていますね。一眼レフの吊り金具は銀色の場合がほとんどですが、黒いメッキを指定しているあたりも渋い。絶対に日本のメーカーだったらこんな部分に余計なメッキの指定とかしません。このような心配りを無意識的に感じ取れるから手にしていて気分がいいのだと思います。

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ボタン電池をカメラに入れて
数年ぶりに通電させれば普通に動くみたいです。そうなると久しぶりにフィルムを通してみたくなるもの。ちなみにセレクトロニック3の電源はLR44電池3個。1980年代のオート露出機能を搭載した一眼レフは、ボタン電池2個が相場で、キヤノンだけが6Vの積層電池を使っていた。という2極のいずれに属さないのも独自路線を感じます。そんなことを考えながら東京・隅田川にかかる橋を歩けば我が最愛の水上バスが視界に入ってきました。まさに渡りに船ですね。松本零士先生がデザインした未来派の観光船ヒミコの後継ホタルナ。慌てず3コマ写真を撮って満足しました。フィルムだと、たった3コマでも満足できるというのが、デジタルフォトとの大きな違いです。