カバンの街、カバンストリート

本サイトでコラムを書いているライターの井上です。

前回はCREEZANのバッグが作られている現場の様子をレポートしました。妥協のないものづくりの道を進むCREEZANは、日本有数のカバン生産地として知られる豊岡市を本拠地とする企業です。

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メガネなら福井県の鯖江。焼き物なら岐阜県の美濃。刃物だったら新潟県の燕・三条など、日本全国には“この産物で日本を支えています。”と宣言できるような街が存在しますが、カバンなら豊岡なのです。市内には180社以上のカバン関連の企業が存在し、日本国内の生産量の7割をカバーしているそうです。街のメインストリートを歩けば、アーケードの支柱に“カバンストリート”の表記を発見。これは相当の自信があるとお見受けしました。

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おお、なんということでしょう! 普通にカバンの自動販売機が設置されております。筒状のパッケージに収納された中身はトートバッグですね。写真を撮るときには気づかなかったのですが、その隣の清涼飲料の自動販売機の様子が普通じゃないです。天板にカバンの取っ手が付いています。もちろん高さが2m近くあるし重量だってきっと500kg以上はあるでしょうから、普通の人には持ち運びはできません(笑)。この自動販売機からほど近い建物に、トヨオカカバン アルチザン アベニューという拠点施設があり、1FはCREEZANをはじめとする豊岡カバンの数々、2Fにはマニアックな品揃えのカバン専門パーツショップ、そして3Fはカバン作りの専門学校になっております。

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3Fの様子を見学させていただけることになり、お邪魔してみれば生徒の方々が作業に没頭されておりました。採光の良い部屋には広い作業台。各種の工業用ミシンも据えられ、部材も潤沢に揃っています。聞くところによれば、地元企業から材料の提供もあるとか。設備や道具だけでなく、学校の質とは教員に依存する部分が重かつ大なのであります。トヨオカカバン アルチザン スクールで指導に当たるのは、カバン製作の全てを知り尽くしたプロの職人。“何を扱うか”ではなく“それをどのように扱うべきか”を熟知した先生に教えてもらえるという環境は素晴らしいと思います。この学校を出て、CREEZANを作るアルチザン(職人)となる人が、近い将来に現れるかもしれません。

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オマケ画像:
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これは、トヨオカカバン アルチザン スクールではなく、CREEZANを作っている工房に設置されていたもの。ホットスタンピングマシン(箔押し機)と呼ばれる装置で、革の表面に金属箔でブランドロゴなどを記すことができます。プロの使う道具や装置って、何だか格好いいですよね。

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ガンダーラ 井上

ガンダーラ 井上

ライター。1964年 東京・日本橋生まれ。早稲田大学社会科学部卒。松下電器(現パナソニック)宣伝事業部に13年間務める。在職中から腕時計やカメラの収集に血道をあげ、2002年に独立し「monoマガジン」「BRUTUS」「Pen」「日本カメラ」「ENGINE」などの雑誌やウェブの世界を泳ぎ回る。著作「人生に必要な30の腕時計」(岩波書店)「ツァイス&フォクトレンダーの作り方」(玄光社)など。
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