トウキョウ・サウンド

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ビザール・ギターという
珍奇な総称で語られるエレキギターが世の中に存在します。フェンダーとかギブソンみたいな大御所じゃなく、それらの定番モデルのプロポーションと比較すると何だかすごく変な感じがする。というのがビザールであるか否かの境界線のようです。私はギターを弾けませんが、1本だけエレキギターを持っています。若気の至りで何十年も前に東京・御茶ノ水の中古楽器屋で出会い、そのシャープなフォルムに惹かれて衝動買いしたのが、このギターなのです。

白状しますと1980年代の末期に日本初のサイバーパンクバンドなるものを結成しておりました。ライブではアナログテープのマルチトラックレコーダーを生でトラックダウンしながらアナログテープの映像素材とシンクロさせるというフォーマットなので、本番で演者3名は比較的ヒマです。そこで毎回メンバー3人が同種の楽器をもつという決まりごとにしました。ある時は3人が3本のサックスをもつ。そしてある時エレキをということになり、このギターが日の目をみることにもなりました(あまり上手く弾けませんでしたが)。

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通称、シャープ5と呼ばれる
このギターが製造されたのは1960年代。作っていたのは2013年に惜しくもその活動を休止した東京サウンドという会社です。エレキ通の方々にはグヤトーンというブランドで馴染みがあると思います。入手した時点で相当に古いものでしたが、ボディのエッジ部分に施された逆Rのジャーマンカーブの造形とか刃物を想起させる鋭いヘッドの形状がヤバイです。ちなみにヘッドに貼り付けてデコっている素材は5インチのフロッピーディスク!に使う書き込み禁止シール、ボディにはVHSセルビデオ!の封印に使うホログラムステッカーなども投入し、かなりサイバーパンクな仕様にしてありました(苦笑)。

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たかだか20数年でその存在を
知る人は年寄り扱いになってしまったフロッピーディスクやVHSビデオと比較すれば、エレキギターって時間経過に対する耐久力が異常に高いですよね。国産初のエレキギターを製造した実績をもつ東京サウンドのフラッグシップモデルとして登場したのに、指板のポジションマークが星印というお茶目なディテールなど見どころ満載の1本だと個人的には思います。とはいえ、もう使うこともないと思うので、どなたか欲しい人がいらしたらお譲りしたいと考えている次第です。

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エレキの小ネタ:
唐突ですけど、カメラのストラップ金具を取り付ける時に爪を痛めることってありますよね? これは某カメラ媒体の編集者でギター弾きでもあるM君が教えてくれたこと。財布の中にピックを1枚入れておけばいいんです。これで爪の代わりに金具をグッと開いてやればいい。おそらく楽器屋さんで最も安価なアイテムの一つですが、すごく役にたちますよ。