IMAIコレクション探訪

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札幌の中心部にあるビルの
2階、3階、4階のフロア全てがカメラで埋め尽くされたコレクションの殿堂。そんな噂だけを聞き続けてきた幻の場所を、念願かなって見学する好機を得ました。IMAIコレクションは一般公開されておらずコレクターである今井さんが個人的な趣味として集めたカメラが展示してあるのですが、その数たるや目もくらむほど。特にニコンの蒐集に関しては世界有数のレベルです。

ご本尊として鑑賞すべきカメラは日本の敗戦後1948年に日本光学が平和品として最初に製作したカメラ、ニコンI型でしょう。現物を肉眼で見られる機会は滅多にありません。ありがたい事に元箱と革ケースも現存しています。特に革ケースは経年で損傷してしまうことが多いのですが、極めて良好なコンディション。「何しろ、ここは北海道ですから」と今井さんが説明してくれた通り、札幌の気候は日本というより欧州に近く、カメラのコレクションに適しているのだと得心した次第です。

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カメラ雑誌の別冊付録などでIMAIコレクションのニコン製品に関しては詳しく紹介されているので、それ以外の気になったカメラを個人的な趣味でピックアップしてみます。これは、英国フィルムメーカーのイルフォードが1960年代に発売していたK1モノバーというカメラ。大判のテクニカルカメラをググッと凝縮して35mm判フィルムで撮影するようにしたもの。立て込んだレイアウトの操作つまみに触ってみたくなるカメラです。
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こちらは1990年代の初頭に製造されたスイスのパノラマカメラ、ラウンドショット。特殊用途のカメラを少数製造しているメーカーなので、滅多にお目にかかれません。僕が実際にラウンドショットで撮影している人に出会ったのは2004年の春、スイスのチューリッヒ中央駅で一回だけ。通常モデルはレンズが1個なのですが、こちらはレンズが2個。しかもライカの超広角レンズ、エルマリート21ミリが奢ってあります。

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ライカのコレクションだけでも、これで半分にも達しません。カメラだけでなく、雲台とかファインダーとかアクセサリー類もざくざくと。中にはライカの測量システムなど、もはやカメラの範疇を超えたアイテムもあり、かなりクラクラしてきます。

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上の段にあるのは、いわゆるカットモデルですね。左からM3。M6、M5そしてライカフレックスSLです。ファインダーなどの内部機構を説明する標本のようなカメラですから、もちろん普通に売っているものではありません。
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レアな物件の連打にクラクラしながら、ちょっと地味な記念モデルに目が止まりました。1986年に発売された電磁制御シャッターを搭載したマルチモード35ミリ判一眼レフ、ライカR4です。未開封で証書のようなものも綺麗な状態。ライカの文献で見た記憶はあったのですが、しっかり目を通してみれば戦前のベルリンオリンピックから50年を経て、金メダリストであるジェシー・オーエンスの偉業を讃えるという主旨の記念モデルだったのですね。このカメラが発売されてから30年も経ちましたが、今さらながらライカがこの記念モデルを出した意義について心に響くものがありました。そのあたりを書き連ねると長くなりそうですので、次回に続く。という事にさせていただきます。