14181って何だ?

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ライカのアクセサリーには
5桁の数字コード、それより前の時代では5文字の記号コードがつけられていて、マニアはコードで会話を進めたりします。たとえば「外付けの28mmレンズ用で四角い格好したクローム仕上げの金属製ファインダーを手に入れた」と説明するのに「白のSLOOZを手に入れた」という感じ。あるいは「ライカM用スーパーアンギュロン21mmF3.4のフードはありますか?」ではなく「12501はありますか?」と中古カメラ屋さんの店頭などでもコードが使われたりします。そもそもはディーラーがメーカーに電信で注文をするときに製品を区別するために設けられたらしいのですが、分かっている者同士であれば会話の効率アップに役立ちます。

そんなワケで私としてもマニアックな数字の羅列で「最近やっと14181を手に入れました」と高らかに宣言したいのですけれど、即座にこのコードに反応してくれる人はあまりいないのではないかと思います。ライカカメラ社の前身であるライツ時代の元箱に、おそらく海外のショップで貼り付けられたと思われる14181のシール。側面には、これまたお店の人が書き込んだと思われるMotの文字が読み取れます。この箱の中身が14181なのです。

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アルミフレームに強化樹脂で作られた突起物がネジ止めされ、レザーのベルトを装備した物体。これが14181です。この手のアイテムに詳しい方でしたら「カメラの底面に取り付けるハンドグリップでしょ」と、即答していただけるのではないかと思います。それでおおむね正解です。正確には、とあるカメラにアクセサリーを取り付けた際に、そのアクセアリーの底面に取り付けるべく設計された専用グリップなのです。

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LEICAFLEX SL MOT (1972)

こちらが14181を取り付けるべきカメラとアクセサリーになります。ライカフレックスSL MOTというカメラは、ライツ社の一眼レフであるライカフレックスSLをモータードライブ対応させたモデル。カメラの底面にライカフレックスモーターなるアクセサリーを取り付けると電動で連写が可能になります。かなり大げさな道具で頑丈そのものですが、質量も結構あるので手首に負荷がかかりすぎるのが難点です。

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14181装着の図

グリップをくっつけると、こんな感じになります。14181は大ぶりなサイズなのでホールドしたときの安定感は抜群です。がっしり掴んでバシバシ撮る。ちなみにフィルム1本36コマ撮ったら、巻き戻しは手動です。ライカフレックスモーターが装着可能なMOTモデルはライカフレックスSLベースのもので1080台、後継機のライカフレックスSL2ベースのもので1020台ですから合計で2100台しか生産されていない。そんな希少種のモータードライブ専用グリップが14181なのです。このようなアクセサリーを純正パーツとして供給していたライカって偉いものだと思います。
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お知らせ:
不肖ガンダーラ井上が、企画・構成・執筆・撮影・アートディレクションを手がけた「Leica M10 B00K」(玄光社)が発刊されました。2017年1月に発売されたデジタルレンジファインダー機であるライカM10を軸に、国産メーカーとは趣の異なる思想で構築されたライカMシステムとその世界観を1冊に凝縮。ドイツ・ライカカメラ社への現地取材、気鋭の作家によるライカで撮影した作品や現行ライカレンズ全24本のレビューなど見どころ満載です。

http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=14456