CREEZANは、こうして作られる(JETTER編)

本サイトでコラムを書いているライターの井上です。

今回のテーマは、CREEZANのバッグがどのように作られているか。普段は見ることのできない、ものづくりの現場からお伝えしようと思います。

 

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CREEZANは日本のバッグ生産を支える町、豊岡市にあるコニー株式会社のオリジナルブランドです。鞄袋物、革小物の製造・企画・販売を手がけるコニー株式会社は、国内有名ブランドのOEMを主な業容としています。その仕事を通じて鍛え抜かれた技とセンスを注ぎ込んで2015年にデビューしたのがCREEZANなのです。オリジナルのブランドでしかできない挑戦的なものづくりが特長で、白いレザーを使ったJETTERシリーズもそのひとつ。

 

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真っ白く清潔な空間で、白手袋をした社員の方が何か作業をしています。これは状況を作り上げた写真ではなく、コニーさんの社屋にある工房にいきなりお邪魔して撮ったもの。何をしているのかと聞けば、JETTERシリーズに使用する金具を検品しながら、製造過程で表面に付着した微量の油を手作業で磨き落しているとのこと。作りたてでは問題なさそうに見えても、時が経つと油分が酸化して金具と接触する部分の白いレザーが黄変したりするのを未然に防ぐ。この一手間がCREEZAN流なのです。

 

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これは、JETTERのブリーフケースのパーツですね。鞄の場合何と呼ぶのか不勉強で知りませんけれど、服なら後身頃の部分です。下の段に吊ってあるのが前身頃の部分で、マチのパーツを介して縫製され晴れてカバンの形になるのを待っております。普通に考えると仕上がったパーツは積み重ねておけば良いのでは? と思いがちですが、そうすると重力で裏に当てた補強材の跡がうっすら見えてきてしまったりすることもあるそうで、まさに細心の注意を払いながら製作工程は進んでいくのです。

 

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ミシンによる縫製も、白手袋を着用して進めています。この手袋を近づいてよく観察すると、一昔前のミニラボでフィルム現像してくれた店長さんやハイヤーの運転手さんが着用しているようなコットン生地を縫い合わせただけの品物ではなく、指先の部分に滑り止め加工が施され、手の繊細な感覚が保たれるように設計された特殊な白手袋でした。このタイプの白手袋は光学機器メーカーの工場でレンズの組み立てをする職人さんが着用しているのを見たことがあります。ちなみにミシン周囲の床にはチリひとつ落ちていません。極端な言い方をすれば裸足で歩きまわっても平気なほどで、やはりキレイな現場からキレイな製品は生まれるのだと得心したのであります。

 

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こちらは、JETTERのラージトートですね。表裏をひっくり返してポケットの部分などを縫製しています。裏地がまだ付いていないので建設途中の建物みたいな状態ですが、それぞれのパーツがキレイです。取手のつく部分に半月状の補強材がありますが、この端面を凝視してみれば単純に切りっぱなしにしているのではなく、縁に行くほど薄くなるように加工してあります。これは表から見たとき、光線の具合などで半月状のパーツのラインが見えてしまうのを防ぐため。例えるなら、せっかくオシャレしているのに下着の線が見えてる!的な残念なことが起きないように、見えないところに手間をかけている。一流の仕事とは、こういうことなのだと思った次第です。

CREEZAN JETTERシリーズ
http://www.creezan.com/collection/series/jetter

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ガンダーラ 井上

ガンダーラ 井上

ライター。1964年 東京・日本橋生まれ。早稲田大学社会科学部卒。松下電器(現パナソニック)宣伝事業部に13年間務める。在職中から腕時計やカメラの収集に血道をあげ、2002年に独立し「monoマガジン」「BRUTUS」「Pen」「日本カメラ」「ENGINE」などの雑誌やウェブの世界を泳ぎ回る。著作「人生に必要な30の腕時計」(岩波書店)「ツァイス&フォクトレンダーの作り方」(玄光社)など。